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お知らせ

狼煙について講演しました

加藤 進 社会連携特任教授

 9月12日(土)はハイトピアで"狼煙あるいは烽火考"と題して狼煙をサイエンスの切り口で切った研究成果を発表しま

した。大盛況で遠く東京から来た方もみえたというお話です。自然科学的に攻めるということで
    
 

のような狼煙に疑問設定を行いました。ここでは紙面の都合で2)3)4)について触れてみましょう。マイクロスケール

実験とは私が常に実行しているスケールを小さくして、場所、時間、材料等の削減をはかり、環境保全に寄与する手法を

取ることです。狼煙をあげることは難しいので、ここでは手っ取り早く感覚をつかむために"発煙筒(白)"(写真1)を

使いました。写真1は伊賀拠点から約2km離れた地点での通常と55mm~200mmの望遠レンズでの見え方です。発煙筒には燻炭

器をかぶせており、煙道の直径は9cmです(狼煙台の直径は2m以上ありかなり大きな煙が天に登ることになります)。2km

地点でもおおむね10mほどの高さに狼煙があがっていることが観察できました。当日の天候は?、地上風は0.2~0.5m/sec

上空はさらに早い風が吹いていると思われます。奇跡的に煙は真っ直ぐあがっていました。したがって、4km地点程度なら

ば、当時の人々は視力も現代人よりも良好であることを考慮すれば、実際の狼煙もかなりはっきりと確認できたのではな

いでしょうか?次に狼煙の材料です。いい狼煙は

 ①濃度が濃い

 ②高くあがる

 ③長時間持続する

です。②と③はなかなか実験ができないので①について材料から考えてみました。

     
すなわち、閉鎖系で、光源に赤外LEDを用い、受光素子に太陽電池を使います。LEDと太陽電池の間に煙を立て、濃度が濃

ければ光強度(I)が減ることを利用しました(これは半定量モデルです、II0exp ( -長さ×濃度 ))。ここでLED

と太陽電池の間隔を一定とすれば、近似的にIは濃度にたいして減少するはずです。そこで、艾(あるいは蓬)を対照にし

て、杉、ヒノキ、松等を燃やして煙を太陽電池の起電力(EMF)減衰でみました。その結果、広葉樹や草本に比べて杉、ヒ

ノキと松は煙の濃度が高いことがわかりました(図1)
    図1
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